2021-10-26
不動産売買における「契約不適合責任」についてご存じでしょうか?
2020年4月より、瑕疵担保責任から契約不適合責任へ改正されたことから、売主の責任はより重くなったと言われています。
一方で買主にとっては、中古不動産の売買における不安要素が軽減され、安心して取引できるというメリットも。
そこで今回はそんな契約不適合責任とはどのような内容なのか、また瑕疵担保責任から何が変わり、どういうことに注意すべきかについて解説します。
東大阪市高井田本通エリアで不動産売却をご検討中の方は、安心して取引ができるよう、ぜひご参考にしてください。
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目次
「契約不適合責任」とは、不動産の売買契約において、引き渡された不動産が、種類や品質、数量に関して契約内容とあっていない場合に、売主が買主に対して負う責任をいいます。
種類・品質・数量は以下の状態を指します。
この中で、不動産の売買契約において、主に懸念されるのが「品質」についてです。
経年劣化による雨漏りや水道管の老朽化、基礎や構造物の腐食など、建物について不具合がある時は、あらかじめ契約書に記載の上、買主に伝える必要があるのです。
引き渡し後に、契約書に記載のない不具合が起きた際には、買主は以下5つの請求権を行使できます。
追完請求(無過失)
引き渡した商品の修理請求、または代替品の引き渡し請求。
追完請求をしても売主が応じない時には、以下2つの請求が可能になります。
無催告解除(無過失)
契約不適合により、契約の目的を達しないときに限り有効
損害賠償請求(過失)
契約不適合による損害が発生した際には、損害賠償請求が可能。
※過失:不注意で起きた過失
※無過失:故意・過失がないこと
売主は、買主に対して売買契約書の内容に沿った目的物を引き渡す義務を担っています。
そのため、引き渡した物が種類や品質、数量において契約書に適合していないと判断されると、売主が責任を負うことに。
ここで注目すべきは、契約不適合責任が問われるのは、「契約書に適合しないものを売却したとき」です。
つまり、あらかじめ売買契約書に売却する建物の状態やキズの箇所など、きちんと記載しておくことで、リスクを回避できる可能性があるでしょう。
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120年ぶりとなる民法改正により、これまでの「瑕疵担保責任」から、「契約不適合責任」へと名称変更され、その内容も大きく変わりました。
これまでの瑕疵担保責任との違いについて、ざっくりと比較してみましょう。
【瑕疵担保責任】
瑕疵とは、売買契約の目的物が本来のもつべき品質・性能を欠く状態をいいます。
買主が通常の注意を払ったにもかかわらず、発見できなかった隠れた瑕疵が対象となります。
【契約不適合責任】
契約の内容に適合しない住宅を売却した際に、売主が負担する責任をいいます。
瑕疵担保責任は隠れた瑕疵かどうかが争点になるのに対して、契約不適合責任は、契約書に書かれていたかどうかが問題となります。
従来の瑕疵担保責任に比べ明確化されたためわかりやすく、契約書に適合しない時に、売主に責任が及ぶよう位置づけられています。
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売主側の責任を果たすためには、契約書にあらかじめ住宅の状況を書いておくかどうかが重要な注意点です。
最後に契約書においての注意点は何か?どのような点に気をつけると良いのか、3つのポイントをチェックしておきましょう。
建物を売却する時には、必然的に設備類も付帯して売却します。
その際に、経年の経った設備の不具合にまで責任を負うとなると、売主の負担が大きくなり、円滑な契約を進めることが難しくなります。
そこで売買契約書の特約事項として、「設備類の契約不適合責任については、一切責任を負わない」と記載しておくといいでしょう。
とくに水廻り設備・冷暖房器具・電気配線・照明などは、経年とともに劣化していく可能性が高くなります。
未然にトラブルを防ぐためにも、設備類の内容をしっかりと確認し、特約または免責事項として書いておくことが重要です。
ただし、売主が知っている設備の不具合については、事前に買主への説明が必要です。
知りながらにして買主へ告げなかった設備の故障や不具合については、責任を免れることはできませんので注意が必要です。
瑕疵担保責任では、責任を一切負わないという「全部免責」という方法がありましたが、契約不適合責任では使用しません。
契約不適合責任においては、契約書に住宅の状況について記載があったかどうかが争点となります。
そのため全部免責を入れてしまうと、売主が義務を履行しなかったとしても責任が問えなくなるという、矛盾が生じてしまうからです
そのため免責に入れておきたい内容はすべて拾いだし、契約書に記載しておく必要があります。
たとえば先ほどの設備でいうと、「水廻り設備の不具合について一切の責任を負わない」と、一つひとつをピックアップしていくのです。
手間はかかりますが、細かく拾いだして免責に入れることが重要です。
契約書に免責事項や特約を記載する上で、建物の状態を明確にしてくれるのが、インスペクションです。
インスペクションとは、専門家の目視や計測による建物状況調査をいいます。
主に壁や柱、基礎などの構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の侵入を防止する部分について、劣化や性能低下があるか、安全性は保たれているかなどを調査します。
インスペクションの実施により、契約書や物件報告書などへの記載事項も明確になり、物件の信頼性が高まります。
また物件の価値を高められるため、購入希望者を早く見つけられたり、希望価格での売却が叶うなどの、相乗効果も期待できるでしょう。
さらに事前に不具合箇所や劣化状況がわかるため、売却時の安心材料にもなりますよ。
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近年は中古不動産の流通促進を目的に、さまざまな法の整備が進められています。
契約不適合責任は、決して売主様の負担を重くする法改正ではなく、従来よりもわかりやすく、安全に不動産売買を行えるよう整えられています。
東大阪市高井田本通エリアの不動産売却のご相談や査定などについては、株式会社モット不動産販売にお気軽にご連絡くださいませ。